311受入全国協議会(うけいれ全国)では、今年度から特定非営利活動法人CWSJapan助成事業として交流事業が始まりました。この度、その貴重な第一回目を、栃木県の塩谷町で開催していただきました。
被災地内外の情報交換、また、被災地のニーズを共有することが目的の事業です。
9月10日・11日の2日間の開催となりました。
うけいれ全国から18団体、そして栃木県内・外で様々な分野でご活躍されている皆様が、塩谷町に足を運んで下さいました。お陰様で、とても有意義な充実した2日間となりました!ありがとうございました!
感謝を込めてご報告させていただきます。
平成26年7月30日午前10時、晴天の霹靂ともいうべき、突然の前井上環境大臣の塩谷町訪問。そして告げられたのは、塩谷町上寺島入 国有林の一部が放射性指定廃棄物最終処分場の詳細候補地として選定されたことでした。
この日を境として塩谷町を取り巻く状況は一変しました。報道陣は詰めかけ こんな田舎町にヘリコプターが飛び交い、町始まって以来の騒ぎとなりました。くしくもそれが塩谷町が誕生してから50年を迎える記念すべき年であったことは偶然のこととはいえ、町民の心の中に深くいつまでも残る思い出となったことは間違いありません。
町民はその日から、詳細調査候補地の白紙撤回を求め運動を始めました。そして、町の至る所にその姿勢が示された看板が設置されました。それらの力が「塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会」という形になり、現在、白紙撤回に向けた住民運動を行っています。
それらの動きを受けて、塩谷町長も「塩谷町の自然を守るためには建設反対」「詳細調査断固反対」という態度を表明し、塩谷町のこの自然を守り、子々孫々の代まで自然豊かで、自然と共存する塩谷町であるように町民一丸となって運動を行っています。(対策班 星育夫さん プレゼン資料より)
1月7日 「栃木県でもぜひ保養相談会を開催してもらいたい」とリクエストをさせていただいたところ、うけいれ全国の みかみめぐるさん、早尾貴紀さん、石田和彦さんが那須塩原まで来て話し合いの時間を作ってくださいました。次年度から始まるCWS助成の交流事業として開催してみてはどうか?ということになりました。
6月4日・5日 福島県で開催された「ほよ~ん相談会」で、保養団体の皆さまに交流事業呼びかけのチラシを配布させていただきました。
6月6日 交流事業の下見及び塩谷町訪問に、うけいれ全国の西崎伸子さん(福島大准教授)が来てくださいました。
役場の星育夫さんのご案内で最終処分場候補地と尚仁沢湧水をご見学していただいたり、塩谷町長にも話し合うお時間をいただきました。会場や宿泊施設として良さそうな場所を色々回っていただきながら、交流事業の骨組みを作っていただきました。
それから、うけいれ全国の皆様とメールで何度も打ち合わせをしながら準備を進めました。保養受け入れ活動などで大変お忙しい中、本当にありがとうございました!
そして無事、交流事業の日を迎えることができました。
午後、会場となる塩谷町自然休養村センターに皆さんが到着されました。
電車で来られる方々は、塩谷町役場の星さんはじめ職員の皆さんが役場のワゴン車で、矢板駅までお迎えに行って下さいました。
塩谷町に入ると、最終処分場反対の上り旗や町民手作りの看板が至る所に立っていて、標識が無くてもどこからが塩谷町なのか分かるほどです。きっと皆さん、そんな看板が立ち並ぶ風景をみながら来られたことと思います。
塩谷町民の思いのこもった看板を一部ご紹介!
連日の雨で、最終処分場候補地、尚仁沢湧水の足場が悪くなっていることが心配され、事前に何度も星さんが確認に行ってくださいました。
当日はお天気に恵まれ、役場対策班の皆さんの運転で、無事見学することが出来ました!
(候補地への林道はとても険しいのですが、対策班の皆さんのドライブテクニックはすごいです!)
下の写真は、処分場候補地とその近くから湧き出る尚仁沢を見学していただいた様子です。同行された朝日新聞の梶山天さまが後日記事にしてくれた写真と、週刊金曜日「金曜アンテナ」にみかみめぐるさんが記事にしてくれた写真も掲載させていただきます。(記事は後程アップいたします。)
塩谷町の豊富な水を生み出すのは町の北部にそびえ立つ高原山(たかはらやま)、ここに降った雨が約30年という長い年月をかけて吹き出しているのが、全国名水百選に認定されている「尚仁沢湧水」で、単独の湧水口としては日本一の湧水量があると言われ、日量65000トンの水を那珂川水系荒川に注いでいます。
そして、大雨が降った後の候補地のヤバい様子はこちら!→原発・放射能から子供を守る会・塩谷
現地見学を終えた皆さんは自然休養村センターに戻られ、うけいれ全国共同代表のみかみめぐるさん、早尾貴紀さん、そして福島の「中間貯蔵施設問題」という塩谷町と同じような問題を抱えている二本松からいらした安齋牧子さんのご挨拶の後、塩谷町町長・見形和久さんのご挨拶を頂きました。
そして星育夫さんによるお話をお聞きしました。
星さんは今まで行政の立場から、最終処分場反対運動のみならず、私たちの活動も支えてくれた塩谷のキーマンです。お陰で今、塩谷町では、こうして市民団体と行政が一体となった反対運動の流れが生まれました。
福島県西郷村議会議員 佐藤富男さんからの差し入れ「だるま最中」を皆さんといただきながら、続いて大山さんからの発表を聞きました。
大山さんは、原発事故以後、放射能から子ども達を守る活動を共にしてきた仲間であり、塩谷町が最終処分場候補地となってからは、反対同盟会の執行部として精力的に活動され町民を引っ張ってこられました。
そして、行政と町民の架け橋となってくれました。
日々、星さんと共に様々な場所で発信されています。星さん・大山さんに象徴されるように、行政と町民が協力し協働している姿こそ、塩谷町の奇跡!
発表のあと、参加された皆様からの質疑応答や、栃木県との県境を越えてすぐの福島県西郷村の状況などをお聞きしました。
更に、塩谷町や日光市、宇都宮からご参加くださった方々を交え、会食をしながら親睦を深めました。
会食後、皆さんで車座になり、情報交換交流会が行われました。
皆さんが活躍されている各フィールドから、活発な意見交換が行われました。
とても有意義な時間となり、今後、様々な化学反応が起こりそうな予感を感じました。
(途中でカメラの電池が切れてしまったり、翌日の問い合わせ対応などでお写真を撮れなかった方々もいました・・・ゴメンナサイ(>_<) )
交流事業2日目は、保養相談会・講演「国ってなんだろう?」が開催されました。
いつも私たちの活動のチラシデザインのご協力をいただいている株式会社さいた様にデザインをお願いし、このような素敵なチラシができました!
塩谷町役場のご協力で、塩谷町の小中学生・保育園児一人一人に配布していただいたり、回覧板や広報でもお知らせいただきました。
日光市、矢板市、大田原市、那須塩原市、那須町の学校教育課に各小中学校1枚ずつの掲示をお願いしたり、日光市の保育園、学童、那須塩原市の保育施設なども回ったり、知り合いに配ったり、ポスターにして色んなお店に貼っていただいたり…3000枚のチラシを、皆さんとあちこちに配布しました。
8月31日の下野新聞
9月5日のよつ葉生活協同組合 よつ葉だより
9月8日の東京新聞
にも、告知の記事を載せていただきました。
大山昌利さん作、看板の数々・・・
とちの実の仲間が、可愛い案内のチラシやアンケートを用意してくれました!
相談会には、13家族31名(県議や大学教授、ライターの方々のご視察も含めると17家族 34名)の方が来てくださいました。栃木県内だけでなく、近隣の県からもご来場くださったご家族もいらっしゃいました!
足を運んでいただいた皆様、本当にありがとうございました~!
2日間にわたる取材をしてくださった片山幸子さま(エディ・ワン ライター)、船山ゆきおさま(栃木県議会議員)、蓬田正子さま(原発いらない栃木の会)、趙 菁さま(金沢大学准教授)も遠くからありがとうございました!
皆様、保養団体の各ブースをじっくりと回られ、詳しいお話を聞かれていました。
「こころとからだの相談コーナー」では、担当の振津かつみ先生(兵庫医科大学医学博士)が丁寧に親身になって皆様のご相談を受けていらっしゃいました。
キッズコーナーでは、子ども達が折り紙や絵本に夢中になって楽しんでいました。
快医学手当隊の皆さんによる「心身の手当て体験コーナー」も大盛況でした!
3時間の相談会の間に18人もの人が体験されたました!皆さん、とても気持ちよさそうでした~。
よつ葉生活協同組合の皆様も参加して、販売コーナーをお手伝いくださいました。
保養相談会も無事終了し、続いて・・・
311受入全国共同代表・NPO法人みみをすますプロジェクト(北海道)理事長 みかみめぐるさんのご挨拶
この交流事業を迎えるまでに、みかみさんには何カ月にもわたり沢山の知恵とお力をいただきました!
続いて井田紫衣さん(とちの実保養応援団・子供の未来を考える会ハチドリ)から、この講演への思いを伝えていただきました。
図書館のお仕事やよみきかせボランティアを通して日々子ども達と関わってきた井田さんがこの本を見つけ、「ぜひこのお話をして欲しい!」とリクエストされ、今回の講演を開催する運びとなりました。
「今までモヤモヤしていて、よく解らなくて、まぁいいか…とスルーしていたことが、この本を読んで、全て繋がっていたのだと胸が痛かったけど納得しました…」
井田さんの思いを語っていただきました。
講師の早尾貴紀さんは、パレスチナ問題やユダヤ人差別問題などを研究されていている東京経済大学准教授であり、311受入全国協議会の共同代表でもあります。
福島第一原発事故後、お子さんと共に自主避難した体験とご自身の研究テーマとしている難民問題を通じ、国家のあり方を考える著書「国ってなんだろう?」を出版され、今回それをもとに講演していただきました。
会場には、塩谷町民だけではなく、宇都宮・日光市・矢板市など他の市町村からの来場者も多く、約70人の方がご来場されました。塩谷町長はじめ町議の皆さんや、隣町の矢板市長、栃木県議の平木さちこさん、船山ゆきおさんも来てくださいました。
講演後の質疑応答では、
「広島・長崎原爆の原料の違いについて…」
「最終処分場ができたら、世界史に残ることになる と言っていたが、具体的にどのようなことになるのか?」
などの質問がでました。
また、「聞けば聞くほど、まさに『知性の悲観主義』。国とはどういうものなのか、どう希望を持って生きていけばよいのか…と考えさせられた。しかし『国』とは違い、『文化』は人間が知恵をしぼって考えていくもの。保養も、震災後の人間が力を合わせて作った新しい文化。みんなが力を合わせて文化を大切にしていけば、人間は生きていける!」という感想をいただきました。
早尾さんは「正に、思想や文化に学ぶことが、今の我々には必要。放射能の半減期に負けない位、長いスパンで未来を考え、同時に長い歴史の中に学ばなければならない」と述べられました。
「文化こそ希望」と感想をいただいた金沢大学准教授 趙 菁(ちょう せい)さまと一緒に写真を撮りました。
国や県…人と人の境界線を作るものに今、私たちは苦しめられているけれど、文化は人と人の境界線を越えていく。
そして交流し、融合し、しなやかに進化していく…
お陰様で2日間に渡る交流事業も無事終了し、
最後に「ふりかえり」の時間。
それぞれの思いや感想を、みんなで共有しました。
私たちは現地視察と交流会だけで失礼してしまいましたが、とてもよい会で
素晴らしかったです。
町の職員の方たちの姿に感動しました。私は実は昔公務員(ブルーカラーですが・・)で組合活動が人生みたいなものだったので、色んな職員を見てきましたが、塩谷町ほど素敵な公務員は見たことがありません!
現地視察の時の町の職員のお働きや、見形町長さんのお話しや星さんのプレゼンテーション、反対同盟の大山さんの報告など、みな、東京のどんよりした行政から比べると、目を瞠るようなことばかりでした。
小さな町での大変さもあるでしょうが、それだからこその連帯があるのだなと長距離に渡ってのぼり旗や看板が掲げられていることに、とても元気をもらいました。
まずは現地を見ること、空気を感じること~五感で、塩谷町を感じさせて頂きました。
人も自然も素晴らしい所です。
本当にありがとうございました。
(東京都 NPO法人 福島こども保養プロジェクト@練馬 竹内尚代さん)
今回私たちはキッズコーナーを担当し、折り紙クワガタ腕輪と新聞で作るけん玉遊びを用意していったのですが、訪れた子ども達は一通り作るとすぐ各々作りたい物を黙々と作り始めました。
そして面白い遊びを考えては試し、皆に教えてくれました。
片言のハサミの使えない男の子は、他の子が作る時に出た折り紙の切れっぱしを、これキレイ、これキレイ、とジェスチャーで自分の腕輪のクワガタに貼って欲しいと頼んできました。
言われた事をただそのままやる子は一人もいませんでした。そのことに子どもの力と未来を感じて、とても嬉しくなりました。
きっと皆さんは、保養で子ども達のこんな姿に出会いながら頑張ってくださっているのですね。
私はまだ保養の現場でお手伝いしたことはありませんので、岩間さんの保養に同行してまた子ども達と遊びたいと思います。
子ども達が私にくれた作品の写真を添付します。
それから、早尾さんのお話をこちらの方々と聴くことができて本当によかったです。本も、その後電話での注文を受けて完売しました。ありがとうございました!(とちの実保養応援団 ・子供の未来を考える会ハチドリ 井田紫衣さん)
9/16の朝日新聞と週刊金曜日(9/23)に、交流事業の様子を掲載いただきました。